総務省の平成25年の住宅・土地統計調査によると、全国の住宅総数6,063万戸のうち、空家が820万戸で、 空家率(総住宅数に占める空家の割合)は13.5%と過去最高となっています。
また、長野県は住宅総数98万2,200戸、うち空き家が19万4,000戸で、空家率は19.8%となり5年前の前回調査に比べ0.4%上昇しました。 空家率は、山梨県の22.0%に続いて全国2番目の高さとなっています。
そんな空き家のお悩みを少しでも解決できるように、対処方法をご紹介したいと思います。 空き家・相続でお困りの方はぜひ参考にしてみてくださいませ。
目次
社会問題となっている空き家
そもそも、空き家問題とはどのようなことなのでしょうか?
建物を空き家になってしまい放置することによって、老朽化し倒壊する危険が生じます。
また、管理する人がいないことを理由に、犯罪や放火などのリスクが高まります。
現在、全国でこのような空き家が増えており、「空き家問題」と呼ばれ社会問題にもなっています。
日本では、少子高齢化が進んでおり、人口は減少しています。 都市部には人が集中する傾向がありますが、地方では過疎化が進み、高齢になった方が自宅の管理を適切にできなくなるケースも多く見られます。
地方の高齢者が死亡したとき、子どもたちは相続した田舎の不動産に関心がなく、放置してしまうパターンも多いです。 それだけではなく、都市部のマンションなどでも空き家問題は発生しています。 空き家問題は、どのような人にとっても、決して他人事ではありません。
空き家にする問題点
もしも所有している不動産が空き家になったら、どのような問題があるのでしょうか?
荒れて周囲に迷惑をかける
まず、空き家になると、家が荒れます。
建物は、人が住んで管理しているときれいに保たれるものですが、人がいなくなったら、一気に朽廃が進むものだからです。
たとえば、壁や屋根などが朽ちてきたりして、周囲の景観も害されますし、治安が悪くなって周囲に迷惑をかけることになります。
害虫、害獣が発生する
空き家として放置すると、害虫や害獣が発生しやすくなります。衛生状態が悪くなり周辺環境も悪化します。
すると建物の有効活用が難しくなるのでさらに放置してしまうという悪循環に陥ります。
危険を発生させる
たとえば、壁や屋根が崩れ落ちて近くを通った人に危険を及ぼすおそれがあります。 またゴミの不法投棄などをされて、異臭が発生する可能性もあります。 空き家によって第三者に損害を与えた場合には、空き家の「所有者」に責任が発生します。 もしも子どもたちが空き家を相続していたら、子どもたちが損害賠償をしなければなりません。
犯罪に利用される
空き家を放置していると、犯罪に利用される可能性も高くなります。
たとえば、住宅の中で勝手に大麻草を栽培されてしまったという事件も過去にありました。
そのような事件に巻き込まれたら、空き家の所有者も「共犯ではないか」と疑われる可能性があります。
また、放火被害に合うリスクも考えられます。
固定資産税が上がる可能性がある
現在、宅地上に建物が建っている場合、特例によって「固定資産税」や「都市計画税」が大幅に軽減されています。 (減額率は固定資産税で最大6分の1、都市計画税で最大3分の1)。
ところが、空き家を放置していて、周辺に危険を及ぼす可能性のある「特定空き家」に指定されると、
この税金の特例が適用されなくなるので、固定資産税と都市計画税が大幅に増額される可能性があります。
特定空き家に指定されたときに、所有者が改善のための適切な対応を怠っていると、
自治体が強制的に空き家を取り壊して、その費用を所有者に請求してくる可能性があります。
つまり、空き家を放置していると、固定資産税や都市計画税が何倍にも増額されるだけではなく、
空き家を強制的に取り壊されて、その費用負担が発生するということです。
これは、増え続ける空き家対策のために策定された「空き家対策特別措置法」による措置です。
そのようなことになったら大変ですから、特定空き家に指定されないように、適切に住居を管理しなければなりません。
特定空き家に指定されるのは、空き家を放置して倒壊の危険性が発生したり、
朽ちて周辺環境に深刻な被害をもたらすおそれがある場合ですから、きちんと管理しておけば、回避できます。
空き家にしないための対処方法
それでは、具体的に不動産を「空き家」にしないためには、どのような対処方法をとれば良いのでしょうか?
・建て替えて二世帯住宅
・建て替えて賃貸併用住宅
・リフォーム
・売却
・資産の組み替え
・等価交換
・そのまま貸す
方法は沢山ありますが、その中でいくつかのメリット・デメリットをご紹介いたします。
建て替えて賃貸併用住宅
建物を建て替えて賃貸併用住宅にする方法を見てみましょう。
今の不動産に十分な広さがある場合、建て替えにより、賃貸部分と居住部分に分けて、一部を賃貸に出すことができます。
そうすると、賃借人から賃料が入ってきますし、親世代が亡くなったあと、
子どもたちが収益物件として活用することができるので、空き家になるリスクが小さくなります。
・メリット
賃貸併用住宅にすると、毎月賃料が入ってくるので、生活に余裕が生まれます。
また、賃貸部分については相続税の評価額が落ちるので、相続税対策にもつながります。
建て替えをするので、新築の新しい物件を建てることができて、賃料も高めに取ることができますし、
自分たちの思うような住みやすい物件を建てやすいこともメリットです。
居住場所が変わらない、引きつづき慣れた土地に住み続けることができる点もメリットと言えるでしょう。
・デメリット
デメリットは、建て替えが必要なため、建築会社と打ち合わせをして綿密な検討が必要になり、手間がかかることです。
また、手元に資金がない場合には、ローンを組むことになりますが、高額なローンを組んで建築しても、
賃借人が入らなければ赤字になってしまうリスクがあります。
賃貸併用住宅を建築するときには、きちんと収益を得られるのか事前にリサーチすることが重要です。
近隣の賃貸物件に入居者が集まっているかどうか、賃料相場がどうなっているか、
今後立てる予定の物件はどのくらいの賃料設定ができそうか、しっかりシミュレーションしましょう。
ローンを組むとき、毎月のローン返済金額が賃料収入を超えると赤字になるので、
キャッシュフローがプラスになることを確認しておくことが重要です。
売却する
次の方法は、不動産を売却してしまう方法です。
売却すると、その不動産は自分のものではなくなるので、空き家問題を心配する必要がなくなります。
・メリット
不動産を売却すると、その不動産の管理が不要になりますし、固定資産税や都市計画税などの税金もかからなくなるメリットがあります。
また、手元にまとまった現金資産が入ってくるので、それを元手に好きなことをすることができます。
・デメリット
売却すると、「不動産」という資産が失われてしまう点がデメリットです。
所有していれば、将来値上がりして高値で売却できたり、賃貸住宅にして活用したりできた可能性もありますが、
売却すると、その時点で可能性がすべて断たれます。
また、売却して現金資産が入ってくるのは良いのですが、現金や預貯金などの資産は
、不動産とは違い相続税評価額を引き下げることができません。
不動産を売ってしまい、現金を持ったまま親世代が死亡すると、相続発生時に多額の相続税が発生してしまう可能性があります。
そのまま貸す
最後に、今の不動産をそのまま貸す方法もあります。
今活用していない空き家がある場合、そのまま貸すことができます。
賃貸すると、入居者が管理をしてくれるので、物件が朽廃することもありませんし、賃料収入を得ることも可能です。
・メリット
そのまま貸すメリットは、なんと言っても手軽なことです。リフォームも建て替えも不要なので、ローンを組む必要もありません。
簡単なハウスクリーニング等をするだけで済みます。
・デメリット
デメリットは、利用できるケースが限られることです。
そのまま貸すためには、相当物件が新しくきれいな状態で維持されていることが必要だからです。立地なども限られるでしょう。
また、居住中の家を貸す場合には、次の住まいも探さねばなりません。高齢者の場合、賃貸物件を探すのは難しい場合もあります。
この方法が向いているのは、今の家が広すぎるので手頃な家に住み替えたいケース、活用していない不動産を所有しているケースなどです。
今の家に賃貸需要があるかどうかについても、事前にしっかりと調査しておく必要があります。
まとめ
今回は、家を空き家にしない方法について、解説しました。 空き家になるとさまざまなリスクが発生してしまうものです。
深刻化する日本の「空き家問題」に対して国や松本市もさまざまな取り組みを行っています。
「松本市の空き家バンク」に登録するのも一つの方法です。当社も登録事業者になります。
他にも相続についてや不動産でお困りの方も当社でご相談承りますのでお気軽にご相談くださいませ。
今回ご紹介した方法を参考にして、最適な方法で空き家対策をしてみてはいかがでしょうか。
また当社では、誰も住まなくなってしまった家の維持にお困りの方、遠方にお住いの方にもおすすめの、
空き家の管理、代行サービスを行っております。
写真付きの報告書を作成・郵便受けの確認・雑草や庭木の確認・通水・通風、窓の換気などでお家の安全を守ります。
空き家でお困りの方はぜひお気軽にご相談くださいませ。
読んでいただき、ありがとうございました。
2021.10.09 Posted by Frontier Spirit. PM1:04│空き家活用